公共事業における上下水道工事や
河川改修工事等に伴い影響する
家屋を対象に事前家屋調査を行います。
又民間造成工事や解体工事等の影響を同様に調査します。
工事が完成したら事後家屋調査を行います。
まず間取り調査を行い、建物の構造・用途・仕上げの種類等を把握します。間取り調査後、詳細な調査に入ります。
押入やクローゼットを除き、トイレ・浴室も含め全室について調査を実施します。ただし、プライベートな問題等により居住者の方の理解が得られない場合は、部分的に辞退(※)可能です。逆に、工事箇所から遠いなど工事の影響の可能性によって、工事面だけの調査や1階の一部だけの調査と言った場合もあります。
工事面側の部屋や、和室等に使われる塗り壁部分、また玄関・浴室・トイレなどによく使用されるタイルなどは振動による亀裂や損傷を受け易いため、少なくともそういった部分は調査をおすすめします。
※事前調査辞退となると、その辞退箇所については工事の影響があったとしても事前資料が無く対比できないため、工事との因果関係を証明出来ず補償されない場合がありますので注意してください
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損傷の調査は、以下の通り
・クロスの目地切れやチリ切れ
・タイルの目地切れや剥離、破損
・漆喰、京壁、繊維壁、モルタル等の左官部分の亀裂、破損
・その他内装の汚れ、剥離、雨漏れ
・フローリング、畳等のきしみ、音鳴り
・建具(アルミサッシ、フラッシュ戸、障子)などの開閉状態。閉じた状態の隙間など。
・柱、敷居、窓枠、床、框等の傾斜測定
まず簡易な立面図、配置図等を作成し、基礎の種類、屋根の種類、外壁の種類等を把握します。 その後詳細な調査にはいります。
工事箇所に近いことから、建物内部に比べて外部の方に影響がでることが多いため、内部調査を辞退しても外部のみ行うこともあります。外部は主に、基礎・外壁を中心に、工作物は塀や舗装等を調査します。また建物本体の沈下も考えられるため、建物四隅のレベル(=高さ)測定も行います。
① 家屋の全景写真
② 天井の亀裂・漏水跡等
③ 屋根の状況
④ 外壁の亀裂・浮き・はらみ等
⑤ 内壁の亀裂・浮き・はらみ等
⑥ 内壁と柱・回縁などのすきま
⑦ 柱・床などの傾斜
⑧ 建物の沈下・傾斜
⑨ 建具の建て付け状況
⑩ 叩き・布基礎などの亀裂・破損等
⑪ 外構(堀・擁壁・門扉等)の損傷
⑫その他必要な箇所
損傷調査はすべて写真で証拠に残します。写真撮影は、所有者、撮影箇所、撮影対象測定値などを記入した看板を入れ、
指し棒などで損傷を指示し同時撮影します。
また損傷が発見できなかった場合も現況状態の撮影を行います。
軟弱地盤であり工事の影響が出やすい場合などは、それ一棟の建物だけではなく周囲の建物にも同様の影響が出ます。そのため一棟の調査だけで工事に起因する損傷か否か断定することなく、周辺の他の建物を調査した上で総合的に判断することが一般的です。
損傷の変化要因としては工事に起因するもの、それ以外の要因と様々です。工事に起因するものとしては
・地盤の変動による変化。ヒービング(地滑り破壊)、盤ぶくれ、ボイリング、パイピングなどの、地盤面の沈下や盛り上がりなど。
・地盤の振動による変化。液状化現象など。ゆるい砂質地盤で起こりやすい。地震と同様。
・工事要因による直接的な損傷。工事機器による接触、作業車両の運行による振動など。
それ以外の要因としては
・建物の経年劣化。経過年数による亀裂、目地切れなど。特に新築建物や、打設したばかりのコンクリートなどは、乾燥による収縮などにより自然発生的に亀裂が生じる場合があるので注意が必要です。
・建物の施工状態。建物の施工が手抜き工事であったり、構造的に影響を受けやすい建物であったりするなど注意が必要です。
・自然災害。地震・台風、積雪による過重など、工事との因果関係に注意が必要です。
重要なのは工事による影響で損傷が拡大、発生したのか、それ以外の要因によるものなのか、周辺建物の状況も踏まえ総合的に判断することです。例えば、工事面に近いブロック塀に亀裂・損傷、傾斜の拡大が出ていないのに建物内の一部で亀裂が拡大した場合や、建物のレベルや柱傾斜が従前と全く変わらないのに、建具の開閉が不具合を起こした場合など。他には、地盤が弱い場所になると周辺の家屋や塀は一律に同方向に傾斜する傾向がありますが、一カ所だけ違う方向に傾斜してしまう場合など。このような場合は周辺地域を総合的にチェックし、工事との因果関係をより深く考慮する必要があります。